世界の記述

タイトルはマルコポーロより。旅行を主とした日本と世界に関するブログです。たまに政治・経済もあり。

世界史を勉強するとグローバル化がわかる


World map

Nahid Sikander

 

日本国内でしか使われていない気もしますが、今は「グローバル化」と世間では言われ、東京オリンピックなどもあって、よく日本と外国を比較することが多くなってきている気がします。ここで重要だと思っていることで、何か国際社会に向けて専門的なスキルがある方は世界史を勉強することはとても良いことかなと最近思っています。

 

僕は高校の時に世界史に関しては人よりも勉強していた方ですが、世界史の知識があったことは旅行にとても生きていたと実際に思っています。例えば、現地の人に対して宗教に関わるデリケートな質問を気を付けながら話せるなど。ということで、今日は世界史の知識が実際の世界で使えると思う所を書いていきたいと思います。

 

試験のための勉強などではなく、本当に世界史が好きで勉強した専門家の人が持っている能力で、かつ国際社会で個人的に重要だなと思うのは、「世界全体を同時に見ることができる力」と「国家の成り立ちを知っている」の2点です。

 

1.世界全体を同時に見ることができる力

どこの国の人も考えがちですが、とある問題があったとして「A国とB国」という形で二か国間だけの問題と考えて、その両国間に関係しているC国を考えずに話す人が時々いるように思います。世界経済に詳しい方は気づいているかもしれませんが、世界のどの地域で問題が起きたとしても、自国にいずれは関係してくると言った形で世界は非常に密接しています。

 

まず、世界史を始めから勉強する時は、多くの人が最初に四大文明など部分的に高度な文明が栄えたこと学び、まだグローバル化が訪れていない時代は中国、インド、中東とギリシャなどと言った各地域の歴史をまず年表に沿って勉強していきます。

 

そして、歴史上で漢とローマ帝国がつながったりと、各地域の歴史が結ばれていく時代が来始めます。そうして、世界史に詳しい人は各地域の歴史が頭に入っているので、例えば8世紀の世界では中国には唐が、イスラーム世界にはアッバース朝後ウマイヤ朝があった、東・南欧にはビザンツ帝国があった、フランスにはフランク王国があったと、同時並列で世界を捉えることができる人が多いです。

 

そして、現代に近づくにしたがってより関わり合っているので、例えば「日本とA国」について考える時は、その二ヶ国間だけで考えても答えが中々でない時代だと思います。なので解決の糸口は違う国かもしれません。

 

この状況は逆にプラスに関係し合っていることもあるので、何よりも僕はこの国や地域のプラスの関係性が好きです。なので、一つの国に捉われることなく旅ができます。こういった世界史的なスキルを持っていると、日本でありがちな単純に欧米とだけ比較して考えてしまうという、中身の薄い感じもなくなります。

 

※個人的にはビスマルク外交バルカン戦争あたりの歴史を見ると、表面上二つに対立している国や同盟の裏に、どれだけ他の国々(ここでは列強)が関係しているのかという「嫌らしい世界」を勉強することができると思います。

 

2.国家の成り立ちを知っている

ここで言う国家とは、封建時代の後(17世紀頃)に生まれた国民国家という概念です。この国民国家の歴史を勉強しないと、今存在している国が成立した過程もわからなければ国家観もあまりわからないと思います。逆に、この国家という括りに不必要に縛られることもあるかもしれません。

 

国民国家とはフランス革命アメリカ独立戦争明治維新イタリア統一などを経て現在の国々を形作っているもので、早い所だとヨーロッパと日本など、戦後には世界全体に広がったと国の考え方です。(国民主権や国境線の確立など行われました)

 

そして、この国民国家成立の過程が国によって違うことを理解することは重要だと感じます。例えば、日本は少し特異で、皇室が代々続いていたりと日本という感覚は他の国(神聖ローマ帝国など)に比べれば昔からあったように思います。(一般庶民に日本人というアイデンティティが生まれたのは明治以降ですが。)また、日本は市民革命でできた国民国家でもないことは特徴的だと思います。そして戦後はGHQが入ってきてアメリカの考えにかなり影響されます。

 

一方、一部のアフリカの国家では、ヨーロッパ諸国の都合で統治された時の国境線がそのまま使われて独立したため、まとまらず民族争いなどが絶えないケースがあります。イスラーム世界も列強の支配によって歪みが生まれました。また、ヨーロッパのスペインでは地域の独立性も強くスペイン内戦が起こることもありました。

 

EUは成立するが、東アジア共同体の成立は難しい。このように、地域によって国や自分のアイデンティティへの考え方が全然違います。国よりも宗教に求心力がある地域もあります。それを同じ土俵として語り合うのは中々難しいことだと思います。

 

そして、個人的には日本は日本人自身もかなり独自性を感じている濃い国だとは思います。例えば外国に出た日本人が、日本人として意識する度合いの強さは他の国よりも強い気がします。しかし、それが裏目に出て「ウチとソト」として分けたがり、日本にいる外国人をずっとガイジン扱いしてしまったり、ハーフの人がアイデンティティに悩みやすい社会にしているのかもしれません。

 

結局は成立の過程も違うのに、同じ「国」という単位で人を判断するのはかなり難しいので、一人一人を見ることがこれからは重要だとわかります。しかし、インターネットなどでそれが容易になったのもあって、これから国の役割は小さくなっていくかもしれません。

 

※最初は「国」もコミュニケーションツールには十分なりえるとは思います。まず最初は相手のことを国籍しかわかりませんから、相手の国を褒めたりして話のネタにできるからです。日本人でも、多くの人が日本車について知っていたら始めは嬉しいと思いますし。しかし、最終的に信頼関係を築く上では、国に捉われず人と人という関係にしていくプロセスが大切だと思います。

 

以上、「世界全体を同時に把握するスキル」と、「国家成立の過程を知ることで、人によってアイデンティティが異なることを理解し、結局は個人を見る能力がこれから必要」だなと感じるのでした。もちろん僕も偏見やイメージで語る所はかなりあるので、気を付ける意味でも書きました。

  

RYOJI

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