世界の記述

タイトルはマルコポーロより。旅行を主とした日本と世界に関するブログです。たまに政治・経済もあり。

ファーガソン事件と人種差別問題



ファーガソンの白人警官、大陪審は不起訴 黒人少年マイケル・ブラウンさん射殺事件 抗議デモ再燃か

 

8月に起こったミズーリで少年を射殺した警察官が11月24日の陪審で不起訴になった判決を巡り、撃たれた少年が黒人系で撃った警察官が白人系であったこともあり、人種差別に非常にデリケートな国アメリカで先週あたりから反人種差別デモが活発になっています。またそれを理由に、暴動を起こし軍や警察が出動するまでの事態になっている始末です。

 

僕は日本で育っていて両親も日本人であるのでマイノリティの気持ちを理解するのは難しいのもありますが、人種差別という感覚は日本だと理解しづらいテーマの1つだと思います。(日本は人種間というより同じ人種内での民族・身分差別が大きく問題になってきた国でした。)

 

また人種や民族という感覚は、自分が「イエロー」とか「日本(大和)民族」などわかりやすい括りなので、所属意識が増しやすく、それが余計に憎悪の念として簡単に生まれるものなのだと思っています。時には政治は国民を統治するために、その感情を利用してきた側面もあるため複雑なテーマです。

 

アメリカでは戦前から黄禍論と言って黄色人種、特に当時国際的に力を増していた日本人への差別が増し、真珠湾攻撃後はその動きが顕著となり、政府が日系人の財産を没収し強制収容する行動に出ました。

 

日系人の強制収容 - Wikipedia

 

この歴史を知るために僕はロサンゼルスのリトルトーキョー近くにある全日系人博物館に行ったことがありますが、おすすめです。

 


全米日系人博物館

 

当時はアメリカだけでなく、カナダや、形上は連合国側についていた南米諸国日系人も同様に財産を没収され収容されるという悲しい歴史があります。

 

この歴史を知った高校時代の僕は、「アメリカがナチスユダヤ人差別を否定する立場にないだろう」と勝手に憤慨していました。昨年にポーランドアウシュビッツに行った時も同じように考えている自分がいました。このように僕は家族が直接被害に遭っていないのに、憎悪の念が湧き立ったという所が人種差別のポイントかなと思います。

 

それは僕が日系人に対し同族意識があり、日本人としてのアイデンティティみたいなのが、差別問題によって変に形作られていることです。これは人によっては暴走する可能性はあると思います。

 

日本に住む日本人の場合は日系人が差別をされてきた歴史を知らない人も多いというのはありますが、アメリカに住んでいる黒人系の人たちはアメリカで起きている差別的なことを日頃から目にしているので、フッとしたことで、こうしたアイデンティティが揺さぶられ暴動などに走りやすいのだと思います。(アメリカは特に人種間の失業率がフェアじゃない所が顕著だと思います)

 

僕は人種差別に対しては否定する立場ですが、正直にそもそも拘りがなく気にならないというのが本音です。しかし、日本でも「中国人はマナーが悪い」とかメディアから平気で耳にするように、人間は何かしら人間をラベリング(個人を見ずに集団を一概にマイナスな意味でイメージ)していることに気づきますし、僕は人種や国籍に拘りがない性格なだけで、他の面では知らぬ間に人をラベリングしていると思います。

 

誰でも様々なケースで差別的感情を抱くのは仕方ないことと思いますが、人種という括りは人口の数値的にも大ざっぱ過ぎて、説得力に欠ける行為だと思います。後は男女差別。異性を一つに語って差別するのは、地球上の半数を語るという考えてみたら無茶なことです。こういったことを口に出したり態度に出すことはスマートではないと思います。

 

また、この事件は最初から「白人警官と黒人少年」と強調して語られてしまい、「行動が問題視されるアメリカ人警官とアメリカ人少年」ということでニュースにならない所にアメリカ社会の人種差別に根深さを感じるのでした。

 

こういうデモや暴動は、日頃の差別を感じる小さな出来事の蓄積から起きる反動だと思うので、多くの人が思っても口に出さないとか、個人を見ようと心がけるスマートさが大切ですね。実際に世の中には良い人はたくさんいますし。

 

最後にアメリカの番組に、What would you do?というドッキリ企画で、それに対して一般人がどういう反応するかという実験的な番組があります。


What Would You Do? Episode Guide | Full Episodes List - ABC.com

 

この番組の中で、レストランで同性愛者に対して差別発言をする役者に対しての反応を見る回があり、一般人で同性愛者ではない男性がこう反論するのが印象でした。「世界の半分の人がアメリカが嫌いになる理由は、君みたいな人たちが世界の他の場所で起きていることを一切受け入れないからだろう!」と差別している女性に憤慨するシーンです。

 

良識ある人はどこにでもいる訳で、こうした良い面での半分の人に目を向けた方が健康的ですし、何よりもこうやって正しいことを言える人を見ると、男惚れして何か幸せな気持ちになりますね。

 

RYOJI

 

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