No.299:週刊国際ニュース.Vol.26
こんにちは。先週に続いて毎週土曜日に勝手に独自の視点で語る週刊国際ニュースVol.26をお届けします!日本だと雰囲気的に国際ニュースがフォーカスされづらいのと、もう少し幅広い地域のニュースを知れたら良いよな・・と思っているのもあって、自分から国際ニュースを書いてしまおう!と思って始めました。今週もよろしくお願いします。満員電車に揺られながら記事をチェックしていました(笑)
さて、先週の土曜日(11月21日)から今週の金曜日(11月27日)の間に起きたこととして気になったのはASEANプラス3首脳会談開催、英仏・米仏・露仏首脳会談、アルゼンチン大統領選、ミャンマーで鉱山事故、ロシアが北コーカサスの武装勢力メンバーを殺害、トルコ軍のロシア軍機撃墜、ロシアがトルコに報復の可能性、ドイツがフランス軍を支援、チュニジアやエジプトでテロ、中国がジブチに進出か、アマゾンがNY地下鉄で日本とナチスのデザイン広告を載せて物議などなど。
ASEANプラス3首脳(日中韓)首脳会談が開催
21日にASEANプラス3首脳(日中韓)会議が行われ、日本の安倍首相も参加しました。日本で注目されていたのは主に中国の海洋進出問題(南シナ海問題)でしたが、フィリピンやベトナムなどの首脳の懸念を共有する声明にもなりました。これらの国は中国の人工島の埋め立てによる軍事拠点化に反対しています。また一方で中国と親密な関係にあるカンボジアの立場も配慮するというバランスを取った形に。
イギリスでイスラム教徒への差別が増える
23日のイギリスのインディペンデント紙によると、パリ同時多発テロ事件以降の一週間に、英国に住むイスラム教徒に対する差別的な発言をされたという報告が4倍に急増したとのことです。警察に相談が寄せられた件数は115件とのことです。教育現場でのいじめも深刻なのだとか。テロリストはただのテロリストです。こうして多感な時期に差別されてしまうと、テロリストに共感する人も増えてしまうのではないか・・。
英仏首脳会談が開催
23日にフランスのオランド大統領はパリでイギリスのキャメロン首相と会談したとのことです。彼はイスラム国を壊滅させるべく英国と連携してシリア空爆に積極的になっております。オランド氏は世論が味方する間にシリアへ攻撃したいのか、オバマ大統領やプーチン大統領とも会談することになっています。ただ、イスラム国という組織を壊滅させても、解散させられた人達が善良な市民となる訳ではないのでテロ行為自体は無くならないでしょうね・・。
アルゼンチンで大統領選が行われる
アルゼンチンの政治はあまり関心はありませんでしたが、アルゼンチンはデフォルトを起こしている国なので世界的には金融市場が注目されている所です。22日に決選投票があり、右派でブエノスアイレス市長のマウリシオ氏が当選したようです。フェルナンデス夫妻は有名ですが、これにて彼らの反米左派政権時代が終わり、来月から新政権が誕生します。
ミャンマー・パガンのヒスイ鉱山で事故
パガンは私も訪れたことがあります。この事故が起きた場所も同じパガンを指していると思いますが、ここのヒスイ鉱山で地滑りが起き100人以上が死亡したとのことです。パガンの翡翠原石と検索すると、日本でも売買されているようでした。こうした危険な労働によって、贅沢品を手に入れることができるのかと思うと複雑な気持ちになります。
ロシア当局が北コーカサスの武装勢力のメンバーを殺害
22日にロシアのテロ対策委員会はイスラム国に忠誠を誓うとした武装勢力の首謀者などメンバー計12人を殺害した発表しました。比較的にイスラム教徒も多く独立気運のある北コーカサスで起きました。アジトから爆弾は見つからなかったとのことですが、
やはりロシアのパワープレイは凄まじいと思うのと同時に、ロシア内のテロリストに
変な刺激を与えていないことを願います。
ちなみにコーカサスとはロシア南にあるカスピ海と黒海の間らへんの地域で、チェチェン紛争などでロシアと争いが起きていました。クラスノダールなどが有名な街です。
米仏、露仏首脳会談が開催
前述の通り、24日にフランスのオランド大統領は米国のオバマ大統領と会談しました。
米国はロシアの反政府派(アサド政権に反対する派閥)への空爆を懸念している所がシリア情勢の難しい所でありますが、オランド大統領はそんな両サイドにもイスラム国だけに焦点をあててもらえるよう役割を担いたい様子です。
そして、26日にはモスクワでオランド大統領はプーチン大統領と会談をすることになりました。そこでフランスは「連合しないといけない」とするもののアサド政権には否定的な所は変えず、一方ロシアも協力を深めていくことは同意するものの、アサド政府軍は必要不可欠という意見は変えていないので、食い違う部分は変わりませんでした。こうしてシリア内戦は複雑なままになるのでしょう・・
ロシア軍機がトルコ軍によって撃墜される
ロシア軍機がトルコ領空を侵犯したということで、トルコ軍によって撃ち落とされて波紋を呼んでいます。そして、ロシア軍のパイロットのうち1人は救出されシリア空基地に到着したとロシア国防相は25日に明らかにしました。トルコとロシアは総じて良い関係ですが、ロシアによる領空侵犯を非難しているのは過去にもありました。
・トルコ政府やNATOがロシアの領空侵犯を非難 ロシアがシリアへの空爆を続けていてシリア情勢が複雑化している昨今です。そんな中で5日にトルコ政府は、10月3日にロシアが領空侵犯をしたとして非難しました。トルコの戦闘機が追い出したとのことです。トルコはNATOの一員ですが、そのNATOの事務総長は6日に、意図的な領空侵犯だとしてロシアを非難し、米軍主導のイスラム国への対応に同調するように求めたとのことです。
No.276:週刊国際ニュース.Vol.19 - 世界の記述
この争いはNATOとロシアの冷戦的で典型的な構図と言える気がします。そのため、トルコはロシアに非難されてもアメリカなどがロシアをある程度牽制してくれるかもしれません。ロシアとNATO系の国との意見が合わず、シリア内戦が終わらないのは政治的なロビー活動が色々な所で行われているからではないかと個人的には思っています。イスラム国という共通の敵がいるハズなのに、中々協力することができない事件が起こるからです。陰でこれによって得している人がいるのではないか・・という陰謀論的な推測ですが。
シリア北部でトルコの車列がロシアによる空爆を受けたか
25日にシリア北部でトルコの支援物を運んでいた車列が空爆を受け7人が死亡しました。トルコはロシアによる空爆と主張していますが、ロシアはコメントを出していないようです。間接的にNATOやロシアが争うことになっているため、トルコは政治的に難しい局面に突入しそうですね。
ドイツがフランスの軍事作戦を支援
フランスは地中海のシャルル=ドゴールという名の空母を派遣しイスラム国への空爆を強化していくようですが、ドイツはこの空母を護衛するために偵察機や艦船などを派遣するそうです。ちなみにドイツは武器輸出大国で中東にも輸出を活発に行っている国です。
武器輸出大国の中国とドイツがエジプトで競り合い 16日に中国がエジプトに対して潜水艦2隻を輸出する計画があるとメディアで発表されました。すでに中国はドイツを抜いて武器輸出大国になっていますが、殆どが対アジアだそうです。そんな中でドイツと、潜水艦2隻を巡ってエジプトで競り合っているそうです。これはイメージですが、欧州や中東あたりは中国よりもドイツの方がシェアが大きいので、中国はそのシェアへの狙いがあるものと見られます。
No.264:週刊国際ニュース.Vol.16 - 世界の記述
エジプト、シナイ半島でテロが発生
24日の朝にシナイ半島のアリーシュにあるホテルが武装勢力に襲われ、裁判官など7人が死亡したとのことです。襲撃犯は3人のうち、2人は自爆し、3人目は無差別に銃を乱射した後に死亡したとのことです。イスラム国傘下の「シナイ州」が犯行声明を出しており、これからもシナイ半島で活発に活動しないかが不安です。
チュニジアのチュニスでバスを狙ったテロが発生
24日にチュニジアの首都チュニスで大統領警護隊のバスを狙った爆発がありました。12人が死亡し、17人が負傷する大惨事に。大統領は非常事態宣言を出して夜間に戒厳令を出したとのことです。チュニジアでは3月に日本人を含む22人が死亡するテロや、6月にリゾート地で銃乱射事件が起きています。
中国がジブチへ軍事拠点建設を計画か
サウジアラビアなどから石油を輸入するルートは「シーレーン」と呼ばれますが、アフリカの角を通る前にジブチを経由します。(マラッカ海峡、南シナ海を通り日本へ)そのため、ジブチは多くの海賊が出没する地域になっており、日本も自衛隊などが護衛しています。
そこで26日に中国がここに軍事拠点の建設を計画していることを認めました。中国としても燃料の補給のために重要な拠点なのでしょう。個人的に米国はシェールガスなどで燃料を自国である程度取れるようになったら、今後は米軍よりも中国軍が主導でシーレーンを守るのではないだろうかと考えています。
国防には詳しくないので勝手な主観ですが、今は中国軍と米軍は遠まわしに共同でシーレーンを守っているような気はしますが、自衛隊と中国軍が共同で守っている絵は想像できませんね・・。ちなみに中国はマラッカ海峡ではなく新たにタイにショートカットする新運河を作ろうとしている話もあったり、また南シナ海に進出しているので、日本のシーレーンを考える上で中国の動きは注視する必要がありそうですね。
★今週の個人的に興味深かった記事を紹介します
アマゾンがニューヨークの地下鉄にナチスや日本の旭日旗を模した広告を載せて非難が殺到したため撤去したとのことです。旭日旗は第二次世界大戦の枢軸国としてのシンボルではなく今も利用されている旗なので、そこらへんはドイツと一緒に考えて欲しくないなと日本人としては思うのでした。さすがにナチスはまずいと思いますが。
※微力ながら極東、中東、ヨーロッパなどの国際関連ニュースの簡単な解説を個別にも行っております。質問や国際情勢に関して興味がある方はこちらから、基本的なことでお構いませんので、ご連絡くださいませ。また万一に情報に誤りがある場合もご連絡いただけると幸いです。
RYOJI
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