シェール革命で変わる世界
こんにちは。最近は個人的に技術の進歩が与える影響について考察することがあります。今まで何も考えずに使っていましたが、いつの間にかインターネットが普及して世界の情報を得ることが簡単にできていたり、スマートフォンが開発されて皆が歩きながらInstagramを見て、皆セルフィーをしている。
そして、旅中でも「このアプリ良いよ!」っと国関係なく共有します。「こんな世界は10年前に想像できなかっただろうな・・」とフッと考えておりました。そして、これからも新しい技術が開発されて生活スタイルがどんどん変わるのだろうと思っています。そんな今日は、ITとは関係ないですが、世界を変えつつあるシェール革命について書いていきます。
僕は地質学について全く詳しくないですが、シェール層には天然ガスが多く含まれているそうです。ここ十数年で、このシェール層から天然ガスを取り出す技術の開発が進み、また実用化され始めたため現在世界を変えていっています。
シェール層は、今まで天然ガスを取り出してきた地層よりも奥深くにある層で、必ずしも天然ガスが取れるとわからなかった従来の方法と比べて、取り出す確率が圧倒的に上がりました。そのため、コストを安く売ることができる、そんな技術革新が世界情勢を変えるポイントになっています。
特にシェール層があり、かつ取り出す技術を持つアメリカ・カナダの影響力が増しています。日本としては自国にシェール層はないようなので、これからも天然ガスは輸入に頼ることになると思いますが、地図を見る限り中国(ウイグル付近)、オーストラリア、イギリス、フランス、バルト三国、ボリビア、南アフリカなどにもシェール層はあるようですね。
世界一の天然ガスの消費国であったアメリカが世界一の産ガス国となる、まさに革命的な出来事かもしれません。今までの天然ガスの埋蔵量一位と言えばロシアでした。それを上回るアメリカはロシアと争う因縁でもあるのでしょうか。また、アメリカはつくづく政治的な運が強い国だなとも思うのでした。
また、アメリカが中東から天然ガスの輸入が必要なくなってくると、語弊はあるかもしれませんがアメリカ軍は今まで資源のために中東情勢に介入してきたようなものなので、中東への政治的介入を減らしていくと思います。それによって中東情勢におけるパワーバランスがまた変わっていくかもしれません。例えばイラク政府は弱くなり、ISILが活躍したりなどなど。
そして、中東からの石油や天然ガスが運ばれるタンカーは、ホルムズ海峡またはアフリカの角付近、そしてマラッカ海峡を経由して日本へ来ていますが、アメリカ軍が撤退すると、この付近で発生している海賊から守る方法も変わっていくかもしれません。中国軍が守るようになるという説も。私の友人も先日働いていましたが、日本の自衛隊は現在アフリカの角ソマリアの北にあるジブチで海賊を見張ってくれています。
日本も安く購入するためにアメリカからの天然ガスの輸入には積極的なようであり、日本はTPP交渉に参加したことで輸入が認められ、2016年に安価のシェールガスがパナマ運河経由で来るそうです。(そうなったら、ジブチのようにパナマ運河付近にも海賊が出そうな気もしますが…)
またヨーロッパは、ほぼロシアからウクライナを通って天然ガスを輸入してきたことは有名です。しかし、ウクライナ情勢によりEUとロシアの関係は悪化しているのか、或いは中東諸国が一番の顧客アメリカを失いつつあるためにヨーロッパ市場に早く目を向けていたのか知りませんが、カタールなどの安価な天然ガスがヨーロッパには来ているそうです。
ロシア、カタール、イランなどが持っていた天然ガスの既得権益が壊され始めているようにも見えます。大口顧客(アメリカ)を失った中東諸国以上にロシアが供給先に困っているようです。そこで、ロシアは市場をヨーロッパから東の中国に目を向け始めました。
理由はよくわかりませんが、中国は中央アジアからガスを輸入する方向で変わりはないようなので、ロシアはその次の経済大国に近寄ることに。それは、我らが日本です。実際に天然ガスが出るとされるシベリアや樺太(サハリン)で共同開発を持ちかけています。
日本は中東、ロシア、アメリカ、これら全ての天然ガスを天秤にかけていく必要があるかもしれません。それぞれのメリットを生かして、今後の方向性を決めて行って欲しいものです。
例えば、アメリカからの輸入に頼れば天然ガス自体のコストが下がり、中東からの石油ルート(シーレーン)を守る自衛隊の予算も下げられるとか、ロシアとの天然ガスの共同開発をすれば北方領土が返還される可能性もあるなど、この際メリットを積極的に考えて選択して欲しいですね。
日本が外交的にロシアと結びつきを強めるのはアメリカにとっては気味が悪いし、日本がアメリカとロシアを天秤にかけて両方に条件を示して価格交渉ができるかは疑問ではありますが。技術の進歩が起こしたシェール革命を通して、世界情勢がこうも簡単に変わってしまう、そんなことを感じるのでした。
RYOJI