世界の記述

タイトルはマルコポーロより。旅行を主とした日本と世界に関するブログです。たまに政治・経済もあり。

グローバル化を促したモンゴル帝国の役割


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ヴェネツィア。古くからこの街には世界を知る者がいた)

 

グロバール化、世界、日本などについて興味がある方が当ブログを見ていただいていると思います。ということで、今回は歴史について考察してみました。

 

僕の個人の意見ですが、グローバル化は今に始まった事ではなく、モンゴル帝国の支配により始まったと高校時代から考えています。


1.モンゴル帝国による貨幣経済の促進

 

遡ること800年前の13世紀当時、中国(宋)ペルシャイスラム世界は貿易が活発であり、科学技術も最先端をいっていました。そんな世界の中でモンゴルの大地にてチンギスハンというカリスマが現れ、部族との争いから勝ち上がり領土を広げ続け帝国を築き上げていきます。

 

3代目フビライハンの時代には中国(南宋)を占領し、彼の弟であるフラグにいたっては「イスラム帝国」と呼ばれたアッバース朝をも滅ぼしてしまう。日本や東南アジアの遠征には失敗したものの、突如現れたモンゴル帝国はそんな世界の中心であるアジアの地域を統一してしまいました。

 

強力なモンゴル帝国という支配者がいることで、東西アジアを結ぶシルクロードなどの貿易ルートが安定し、様々な民族による国際ビジネスや移動が活発になります。そこで、フビライハンは13世紀後半に世界最初の不換紙幣を発行し、この広大な大陸におけるビジネスの決済を容易にしていきます。

 

現在の基軸通貨や国際決済通貨と言われるドル・円・ユーロは、アメリカ政府、日本政府、EUという組織に他と比べて信用があるから利用されているように、当時はモンゴル帝国という強力な支配者による信用性が国際経済を活発化させていました。

 

元々、紙幣という物は宋の時代から利用されていたと言われていますが、モンゴル帝国は銀や金などの裏付けがない状態で紙幣による通貨の安定に成功していました。イタリアのマルコポーロは、そんな紙と物を交換している光景を見てアジアが進んだ社会であることを知ることにもなります。

 

当時、国境という考え方は一般人にないため、部族同士が互いの利益のためにコショウの取引等々ビジネスをより活発にしていくことになります。こうしたことを踏まえるとモンゴル帝国は現在の資本主義経済の原型を作ったとも言えるのではないかと考えています。

 

2.ヨーロッパの逆転劇

 

しかし、そんな中でも貧しい地域がありました。それは内陸のヨーロッパの国々です。すでにギリシャ文明やローマ帝国が繁栄した面影を亡くしており、イスラムの研究者などからギリシャの哲学なども逆輸入する程になっていました。

 

ヴェネツィアが東地中海に当時どれ程の力があったかは勉強不足ですが、地中海のビジネスはイスラム圏により掌握されておりました。そして当時のヨーロッパは辺境の地であるため、高い値をつけられて物を購入せざるをえませんでした。

 

しかし、経済的に貧しいヨーロッパの人々の救いとなっていたのは従来から信仰が強かったキリスト教ローマ教皇の存在でした。ローマ教皇のウルバヌス2世はヨーロッパをまとめ、キリスト教徒による聖地エルサレムの奪還や東方のキリスト教徒を救うなどと言って十字軍を結成し、11世紀からイスラーム世界に挑みますが敗退。一時的に占領するものの、最終的には撤退。

 

そして、モンゴル軍が西に領土を広げる際には、ポーランドの土地でポーランド王国神聖ローマ帝国テンプル騎士団などが結束してモンゴル軍のバトゥを向かえ討つも、壊滅させられてしまいます。(ワールシュタットの戦い)

 

そんな疲弊していたヨーロッパの中にも、地中海貿易が盛んであったヴェネツィアという国がありました。その地で育ったとされるビジネスマンの息子マルコポーロは若くして旅をします。ついにはフビライハンに謁見し彼にも気に入られる存在に。

 

彼はどれだけヨーロッパが遅れているかを知り、アジアでの体験談は帰国後も、多くのイタリア人(ヴェネツィア人)の好奇心をそそりました。後に対抗していたジェノヴァとの戦争で捕虜となったマルコポーロは、獄中でもアジアでの体験について語ります。これが「世界の記述(東方見聞録)」です。

 

これをきっかけに、アジアに対する関心が増すヨーロッパの人々が増えたとされ、イタリアやスペインなどの南欧のビジネス国家は特にアジアの経済圏への参入を試みることになります。そして、ついにイスラム勢力を脅威に感じていたイベリア半島ポルトガル人がアフリカ大陸南端(喜望峰)へ行くなどヨーロッパ以外の土地を目指し始めます。

 

また、大西洋を横断したらアジアがあると信じビジネスチャンスを伺う者まで出てくる。そして、ついにアメリカ大陸という新大陸や銀山を発見し、メキシコ銀などを通貨としてビジネスを行うヨーロッパが繁栄する時代が訪れるのです。

 

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(イタリアはヴェローナのお祭りにて)

 

こうして人類は地球規模で世界を捉えてきたように、現在の国際秩序を考える上で、別々に繁栄した国に交流を持たせたこと、そして貨幣経済を利用したという点でモンゴル帝国は大きな影響を与えていたと感じています。

 

歴史を見ることで今が見えてくるかもしれません。

 ※史実に関することで誤りがある場合はご教示いただけると幸いです

  

RYOJI

  

遊牧民から見た世界史 増補版 (日経ビジネス人文庫)

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