世界の記述

タイトルはマルコポーロより。旅行を主とした日本と世界に関するブログです。たまに政治・経済もあり。

敢えて「国」を意識する戦略


United Nations Headquarters

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こんにちは。前回アイデンティティについて変に考えてしまったので、今回もそのテーマで書いていきます。先日、勉強を教えている小学生5年生の男の子に、僕が旅した時に撮影した世界の写真をプレゼントしました。とても喜んでくれて、今では国の名前を覚えています。10年後には世界を旅をしているかもしれませんね(笑)早いうちに世界に興味持ってくれれば良いなとコッソリ思っています。

 

という僕はこういったブログを書いているのもあって、「外国」にとても関心があると思っている人も多いと思いますが、実はそこまで興味がなかったというのが本音だったりします。

 

旅をするまで「外国」という考え方すらなかったみたいな感じです。後述しますが、これが仕事を考える上でも、最近の悩みでもありました。外国を意識するようになったのは本当に最近のことで、未だに国際感覚というのがよくわからない。

  

僕は東京のサイクリングから始まり、次第に日本国内を旅し、その延長で視野を広げるために日本の近くのアジア、そして地球規模へと目標を変えて旅をしたのであり、あまり外国という意識は20代になるまでありませんでした。先祖代々日本人なので、日本に対する愛郷心みたいな感覚はもちろんあります。

 

外国を意識するようになったのは、世界を旅したりして僕のことを「日本人」として見る人の多さを知ったり、「外国」に興味がある日本人と多く出会ったことです。多くの人は、20世紀的な「国」という概念に影響を受けている人が多いことをそこで知るのでした。

 

僕は16歳くらいの時に、受験のために世界史を専攻していました。そして、1861年にイタリアは「統一(リソルジメント)」すると授業で習うのでしたが、その時に高校の教師に「なぜ当時はイタリアという概念すらないのに、イタリア統一、またはイタリア統一運動という用語で覚える必要があるのか。これって後付けですよね?」と質問したことがありました。

 

教師は応えてくれませんでしたが、自分でその日の内に考えてみると歴史という教科は「現在の国」をゴールとして歴史を学ぶものだからかと気づきました。例えば、中国だと色々な秦、前漢、新、後漢、晋・・・清など「中央集権国家」が興亡してきましたが、最終的に日本という外敵に勝ち、また国民党という内敵を追い出し、中国共産党が中国を治めてハッピーエンドという形になっている訳です。

 

どこの国も現政府が教育要綱を決めるので当たり前のことです。日本もアイヌなどの民族を認めたのは最近のことです。戦前に北海道のシャクシャインの戦いなどは習わなかったと思いますし。

 

このようにして、多くの人が「国」を語る時、文化的な物と国民国家的な物をゴッチャにして語る傾向にあります。特に多くの日本人は、「国民国家」という考え方が他の国と比べて独特な印象もあります。それは、市民革命などがなかったからなのか、「国民国家」が古来からずっと続いているというような感覚で語る人が多い所です。今の国の基盤が確立したのは日本もイタリアと同じで19世紀末のことです。

  

外国関係だと、時々「日本は変だよ、外国はこうなのに!」っ二元論で日本を責める人とも会いますね。そういった話を聞いて、「その狭い思考は一体何なんだろう・・」と思うこともあります。むしろ日本人なのに日本の良い所を知らないんだなっと・・。こうやって分けて考える傾向があるのは、「ウチとソト」という日本文化に影響があるだろうと個人的には思っています。

 

それは日本人にとって他の国は「外(ソト)」の国という感覚で、日本と全く違った国というイメージをしている人が多い所です。つまり日本とは異なる国という感じです。これからは人と人の距離が縮まっていく世の中なので、この「ウチ」と「ソト」という思考は得しないと思うので、そういう所は今の子供たちに知って欲しいなと思ったりもする今日この頃でした。

 

また僕は国籍は飾りにしか過ぎないと思っていました。我が家は江戸時代から家系が続いている記録がありますが、「日本人」として戸籍に載るのは他の人と同じく新政府(明治政府)になってからであり、歴史は150年程に過ぎません。ただ、そんな「日本人」で得することが多いことは事実です。

 

例えば、日本文化に興味がある外国人で、僕を「日本人」という理由だけで連絡をしてくれる人もいます。「別に自分は日本代表じゃないが・・大丈夫かな」と心の中では思うのですが、別に彼らにとってそれは悪いことではなく、僕も日本が同様に好きなので、同じ日本好きとして話題が共通だし、ここ3年は積極的に交流をすることにしていました。 むしろ、僕からアプローチすることもありました。喜ばせることができるので。

 

こうして今では日本やスペインなど国籍や民族に関係なく、お互い「個人」として見ることができるような関係になっている人も多く、とても嬉しいことです。僕は別にアナーキーな訳ではなく、人類皆兄妹という世界市民的な思考もなく、単純に人付き合いレベルでは「国」を意識しても意味がないと思っているだけです。

 

しかし、この思考はどんな国でも一般受けはしません。そして僕は少し変わった思考を持っているのかもしれないと気づきました。多分、この話すら意味不明に感じている人もいると思います(笑)そのため、僕はこれから「敢えて」国にフォーカスすることに決めました。「国なんて関係ないじゃん」とか、「国際交流って逆に国に捉われてて古くさいかよね・・」という思考は、自分よがりでしたね。

 

例えば、ポルトガルのホステルでウクライナ人の女性が一人朝ごはんを食べていました。クールな感じの人だったので誰も話しかけていなかったです。そこで、僕は話しかけて、ウクライナ出身と知った後にウクライナとその女性のホームタウンであるマリウポリについて知っていることを話しました。そうすると喜んでくれるのです。僕が実際にその後ウクライナに行った時はFacebook上ですが、本当に喜んでましたね・・。

 

本当はその人自身に興味があって話しかけていただけなのですが、このように国というアイデンティティは多くの人にとって大切な存在なので、「今の時代に国とか関係ないじゃん」など自分の考えなどは後回しにして、本当にその個人を喜ばすことだけを考えれば良いと思うようになりました。他の日本人が知らないようなことを知る。これが相手が自分を「日本人」として見てくる場合は重要かもです。

 

ということで、僕は「国」を限定したイベントというのを少しずつ開いて行こうと思っています。ポーランドもその一環です。旅人出身の自分としては、正直、色々な国に興味があることになりますが…また外国語も中途半端な英語しか話せず、どこか一国に憧れている人にとっては僕は二枚舌になりますが、こそこそとイベントを開いて行こうと思うのでした。

 

アメリカに興味がある人には、アメリカ関連の、中国に興味がある人には中国関連の、ロシアに興味がある人にはロシア関連のイベントを。自分の考えに固執をせず、多くの人が何を望んでいるかをもっと真剣に考えていこうと思う今日この頃です。

 

逆に他の国の人にとって自分が「日本人」として需要がある存在なら、それにも積極的に応えます。ということで、海外向けに個人のホームページを作っていて、また僕はこれからは「外国」にフォーカスしていきます。

 

そんな訳で次回は、なぜかつながりが深いロシアについて興味ある人向けに、書こうと思っています。イベントも考えています・・。

 

RYOJI