世界の記述

タイトルはマルコポーロより。旅行を主とした日本と世界に関するブログです。たまに政治・経済もあり。

ヨーロッパ連合という考え方


Euro Bills

Tax Credits

 

こんにちは。ギリシャ危機の対処に関してEU加盟国内では常に議論されています。最近、ギリシャはドイツに対してナチス時代の巨額な賠償要求したり、直近だとチプラス首相がプーチン大統領と会談したりとEU離脱を臭わせている感じさえします。

 

仮にギリシャがEUから離れると元通貨であるドラクマは暴落、財政破綻により銀行からの投資も減り公務員の仕事が削減されると思いますが、治安が維持されればドラクマ安で旅行客はかなり増えて立て直しができる可能性はあるかもしれません。

 

立て直しにはギリシャは政治的にもロシアに援助を求めそうですが、原油価格が下がっていて困っているロシアも財政破綻した国に貸す程の余裕は現在はない気もするので非現実的な気はしますが。

 

そして、ギリシャが離脱すると経済状況の悪いイタリアやスペインへ派生する可能性も高く、一番の経済大国のドイツにとってもユーロ安やEU内への輸出で稼いできた面もあるのでそれは避けたい。このように経済は持ちつ持たれつで損切りができず問題を先延ばしするしかできずグダグダしている印象があります。

 

各国に通貨発行権はないですが、各国に中央政府はあるという今思えば無理のある構図ですが、今日はなぜそんなEUという組織はできたのかという所を振り返っていこうと思います。

 

そもそも「ヨーロッパ」という名の由来はギリシャ神話の女神「エウロペ」で、その女神が来た場所という伝説からだそうです。日本人が想像するヨーロッパはイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどだと思います。僕個人の人間関係的にもつながりが深い地域です。

 

トルコがEUに入るかどうかという議論もありましたが、そもそも現在の「ヨーロッパ」という感覚はどこら辺の地域までを指すのでしょうか。旧ソ連諸国との境いで考えられるかもしれませんが、ウクライナの西はヨーロッパ的な感覚がありますし、難しいですね。

 

仲の良いモスクワの友人はモスクワはヨーロッパに近いと言っていたりもします。個人的にはロシアは、かつてロシアを支配していたモンゴル帝国の名残りがあるため「ロシアはロシア」という感じがありますが、こういうものは政治によって変わる本当にフワフワとした概念だと思います。

 

EUの母体で言うと日本人の母を持つ日系オーストリアハンガリー帝国人のリヒャルトが提唱した、彼が戦前に汎ヨーロッパ会議を設立したことが発端になっているとも言われています。第二次世界大戦が始まるとナチスの台頭と列強各国同士が激しく争う時代になり、その構想は一度打ち砕かれますが、やがてヨーロッパ共同体(EC)の進展に尽力しました。

 

戦後の東西冷戦でドイツは東西に分割され、西ドイツはアメリカの西側に所属しますが、西ドイツが経済発展することは戦後間もない頃の隣国フランスにとっては大変脅威だったそうです。フランスはドイツとの国境にあるアルザス・ロレーヌ地方が長年の間、火種となっていた地域だったこともあります(石炭資源あるためです)

 

二度のドイツの孤立化とそれに伴う世界大戦を経験して疲弊したヨーロッパだったので、同じ過ちを繰り返さないためにも、この石炭や鉄鋼を周辺諸国で共同管理する機関(ESCS)を設立しました。また共同で原子力の開発をするEURATOMができ、やがてこの2つの統合が進むと、次は関税を廃止するなどして加盟国の経済発展を目指していました。

 

そして、最終的に現在のEUという組織が1993年にでき、その加盟国はヨーロッパ全体に広がっていき、人の行き来も自由となり(シェンゲン協定)、Euroという統一通貨を採用する国々まで増えました。このようにヨーロッパ全体が1つの国と同じように一心同体となって日本やアメリカ経済に並ぶ経済規模に発展していきました。

 

そして現在、そのEUが岐路に立たされているという流れです。イギリスやフランスは1990年のドイツの東西統一に対しても少し警戒感を示していたという話があるように、20世紀のドイツが与えたヨーロッパへの影響やトラウマは非常に大きかったのだなと思います。

 

しかし、このEUができたことで西ヨーロッパに平和が訪れたのは事実だと思います。戦争を起こさないためにも、当時統一されたドイツをEUという共同体に参加させることは周辺国の最重要事項だっただろうと個人的には思うのでした。そして、現在ドイツは平和的にも経済的にもリーダー格としてEUを引っ張っています。

 

このようにドイツが常にヨーロッパを左右させる重要な国であり続けるのは、経済大国だからだと思いますが、なぜこの国が一番の経済大国になったのかも同時に考えさせられるのでした。歴史的に職人文化があったり、2度の大戦によって新しい兵器が開発され続けために技術大国になったり、逆にドイツが戦争で他のヨーロッパの国々の産業を奪ったために優位になった面もあるだろうっと色々と推測はできます。

 

今のギリシャ危機で、(可能性は低いとは思いますが)万一リーダー格のドイツの方からEUを離脱することになったらヨーロッパは再びバラバラになって過去のような歴史を繰り返すのでしょうか。いずれの方向に動くにせよ、人々の移動の自由やグローバル化は避けられない時代なので、通貨は仮想通貨などに信用度が増したり、ヨーロッパの人達は、新しい国家のあり方を再び世界に提唱するのかもしれませんね。

 

最後に、先ほど「EUって何のためにある?」ってEU圏内出身の友人に聞いてみたら、「銀行家のため」という応えが返ってきたのでした。秀逸です。

 

RYOJI